宝石珊瑚の価格の決め方

珊瑚の価格は主に品質、大きさ、珊瑚の色(種類)で決まります。


1 品質

天然の珊瑚は磨けば元の輝きに戻り一生お使い頂くことができます。
それゆえ、傷がなく美しいものをというのは当然のことです。また、一般的な宝石としての評価でももちろん傷がなく色味が美しく均一というのが最高品質となります。
ただ、海の中で育つ生物である珊瑚は永い年月海の中で成長するため何かしらの傷があるのが当然といえます。
だからこそ傷が少ないものは希少価値が高く大変高価なものとなります。

■天然珊瑚の特徴

日本産赤珊瑚の証「フ」

「フ」とは、日本産・赤珊瑚に見られる、白い斑点や、模様のことを指します。この「フ」は人間で言う骨の部分。色ムラがないほど、美しいと評されるため、丸玉であれば、フの部分に穴を空け、ジュエリーに加工した際は、裏面など表面にはフが見えないようにします。
「フ」は日本産・赤珊瑚にしかなく、地中海産・赤珊瑚にはありません。このことから、日本産・赤珊瑚の証とも言われ、地中海産・赤珊瑚との識別の目安にもされます。「フ」のない日本産・血赤珊瑚は最高級品と評されます。




「ヒ」と呼ばれるクラック(ひび割れ)

「ヒ」とはひび割れのことです。珊瑚は何気圧もある深海に生息していてるため、引き上げられると水圧の差によってひび割れができます。
特に水深の深い場所に生息する珊瑚ほどヒは出来やすく、深海珊瑚などでは全くヒがない製品はほとんどないと言ってもいいくらいです。




天然ゆえの不純物

そのほかにも珊瑚は海中で成育しているため、フジツボ等の貝や甲冑類など、色々なものが珊瑚に付着することがあります。その場合これらを巻き込みながら成長するため、加工の途中に巻き込まれたものが現れてきます。これが不純物となったり、現れたものが取れて、その部分に凹やキズなどが出来たりします。
また、成長する際の環境の変化などによって年輪のように色むらや筋目が出来たりもします。




生木と枯れ (虫食い)

海の中で倒れた珊瑚は時間がたつに連れて分解されて穴が開いたり、色があせて行きます。こういったものは、「枯れ」「虫食い」などと呼ばれます(これに対して海中で生きていたものは「生木」などとも言われます)。
倒れて時間がたっていないものは穴も少なく色も濃いですが、長い時間がたつにつれて穴が多く軽石のようになっていきます。

虫食いの原木を活かした彫り物の製品



2 大きさ

珊瑚は深い海の中で、ゆっくりと時間をかけて成長します。1年で太さが0.2−0.3mmと年月がかかり、小指くらいの太さになるのに50年ほどかかるといわれています。このため大きな珊瑚は大変な時間をかけて育った貴重なものです。

また、珊瑚の大きさが製品の大きさではありません。珊瑚は天然の物ですので傷や内包物などがあることが普通です。また日本産の赤珊瑚には中央に白いフがあります。商品として美しく作るために、欠点のある部分を目立たないように磨かなくてはなりません。特に美しい丸玉を採るためには珊瑚の7割を削らなければならないほどです。
このため、10mmを超えるような美しい丸玉はなかなか作れず大変希少で高価です。


3 珊瑚の色

色と価格は勿論無関係ではありません。例えば、最近では赤い珊瑚は特に濃ければ濃いほど値段が高くついています。これは産出量による希少価値と需要の関係で値段が決まっているためです。(一昔前は赤色よりも桃色珊瑚が高い時期もありました)
ただ、色については「値段が高い=美しい」ではありません。お客様のお好みで「明るい赤が好き」「私にはピンク色の方が似合う」というようにぜひ身に着けたいお好きな色を選んでいただきたいと考えております。